XS650 タペット調整
2021-12-17
XS650のタペット調整についてご説明します。


【タペットクリアランス】



タペットクリアランスの数値について、多くのお問い合わせを頂きます。
理由はマニュアルの数値があまりにも極端に違っているからだと思います。


ヤマハマニュアルのデータは以下の通りです。(ヤマハ発行テレホンデータブック引用)
「XS1-XS650E」  IN     EX
1970-1973     0.15    0.20
「TX650」    
1973/12-      0.15    0.20
1977/03-      0.05    0.20
1980/01-       0.06    0.15 
「XS650SP」
1978/03-      0.08-0.12 0.13-0.17
1980/03-      0.06    0.15
1982/01-      0.11-0.15 0.16?0.20


ヘインズマニュアルは以下の通りです。
1970-       0.15    0.30
1974-       0.05    0.10
1976-       0.05    0.15
1978-       0.10    0.15
1979-       0.06    0.15
  

さてさて、情報の氾濫です。何を信じれば良いんでしょうか?


本題のタペットクリアランスですが、なぜギャップが必要なのでしょうか?
熱膨張によりタペットがバルブを押してしまい、圧縮漏れをおこしてしまうからです。


それではギャップが大きすぎるとどんな弊害があるでしょうか? 
タペット音の増加、バルブ先端とアジャストスクリューの磨耗等です。


ギャップの大すぎと少なすぎ、性能に直接影響するのはどちらでしょうか?
当然、少なすぎの方がエンジン不調に結びつきます。


それに新車のエンジンと2万キロ走行のエンジンとではぜんぜん条件が違います。
ある程度走ったエンジンだとバルブあたり幅が広がり、多少はカーボンを噛んでいます。


この状態だと確実にスプリングの力でバルブを密着させる必要があります。
また閉じる場所により多少の密着誤差が生じています。


ですからタペットクリアランスに関しては常に規定値より多めでの調整をお薦めします。
多少音が出るくらいの方が調子良いとお考え下さい。


例えばIN-0.10だとしたら0.10+αです。この場合使用するシックネスゲージはあくまでも0.10です。
最後の締め付けでαを出します。いずれにしろきっちり0.10に合わせる事は不可能なんですから。


さてヤマハのデータブックを見ると初期型と後期型でデータが大きく変わります。
これは1974年の「ガソリン無鉛化対策について」の通産省通達の影響でしょう。


バルブシート、バルブ、ロッカーアーム等の材質変更があったと思われます。
様々な情報を加味すると、下記の設定での調整をお薦めします。

1970-1974    IN-0.15 EX-0.20 +α(0.01-0.05)
1975-1983    IN-0.10 EX-0.15 +α(0.01-0.05)


蛇足ですがつめすぎて失敗した事はありますが、広すぎての失敗はありません。


【タペットクリアランス調整】


1)4個のタペットカバーを外します。
2)エンジン左側のYAMAHA マーク丸カバーを外し、ローターの線をTマークに合わせます。
3)左右どちらかが圧縮上死点ですので、タペットがバルブを押していない方を探します。
4)圧縮上死点側のタペットとバルブの隙間にシックネスゲージを差し込み、隙間を調整します。
5)ローターを1回転させ、反対側の気筒も同様に隙間を調整します。


シックネスゲージを差しこみアジャストスクリューで調整する時に+α(0.01-0.05)を出して下さい。

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