☆ XS650 エンジン腰上 オーバーホール
2013-08-13
XS650のエンジンは単純ですごく整備がしやすいため、アマチュアの方でも腰上オーバーホール程度でしたら難なくこなせると思います。ここではアマチュア向けの、あまり特殊工具を使わないエンジンの分解組み立て方法を説明させて頂きます。

本来はエンジンを降ろして分解整備するのが、正しいやり方ですが、
1人でもできる、エンジンを載せたままでの腰上O/Hをご紹介したいと思います。

ヘインズマニュアル(¥3000)の順番と同じですから、写真を見ながらお読み頂くと解りやすいですよ。


【エンジン分解の下準備】
オイルを抜いて、ステップ、チェンジペダル、エキゾースト、キャブ、ケーブル、配線、チェーン、
オイルパイプ、エンジンマウントを外し、左右のクランクケースカバーも外します。


エンジン右下にパンタグラフジャッキをあて、右下のみをジャッキアップしていきます。
画像のような角度になるまで持ち上げてください。
またフレームが傷つかないようにダンボール等をあてがってください。

                  

   


【ヘッドカバーの脱着】
プラグと左右ポイントカバーを外して、中身をすべて取り外します。
次に4個のロッカーカバーを取り外し、エンジン上部のボルト、ナットをすべて外します。
緩める順番は締める時の逆で外側の対角線から緩めていきます。


まず12mmのソケットで8mmのボルトを外し、次に17mmのソケットで袋ナットを外します。
外側4個のシールワッシャーと中側4個のプレーンワッシャーを外し、
プラハンで廻りをたたきながら慎重にヘッドカバーを外します。



【カムの脱着】
いよいよカムチェーンのカットです。左クランクケースカバーを外して、17mmボックスレンチでクランクを
ゆっくり廻します。この時カムチェーンを良く見て、カシメてあるリベットリンクを探し頂上に持ってきます。
ここでカムチェーンテンショナーをそっくり取り外してください。




さてリベットリンクのカットですが市販のチェーンカッターではなかなか刃が立ちません。
そこでサンダーを使用します。エンジン内部にごみが落ちないようにマスキングして、


リベットリンクのカシメてある部分だけサンダーで削ります。リベットの頭だけ削る感じです、
これをやると市販のチェーンカッターで楽に外れます。


またチェーンカッターの無い時はポンチで軽くたたいて外す事も可能です。
ストップ!!全部外さないで!その前に40cmほどの針金を2本用意してください。


リベットリンクを取り去った瞬間にカムチェーンは左右に分かれてクランクケース内に落下していきます。
こうなると後で面倒なので、落ちないように手で押さえながらリベットリンクを外します。


ここで慌てずにチェーンの両端の穴に針金を通し、落ちないように適当な場所に結んでください。
さあ、やっとカムが外せましたね!


【ヘッドの脱着】
もうどこも止まっていないのでヘッドは持ち上げれば外れるはずです。でも外れないんです!
20年以上圧着されていましたのでそう簡単には外れません。プラハンで根気良く四方八方たたいて下さい。


ただし合わせ面が出ている部分はたたかないで下さいね、後でオイル漏れの原因となります。
また絶対にドライバーなどでこじってもいけません!


ただひたすらたたくんです。強くたたきすぎるとフィンが欠けてしまいます。
ほどほどの強さでただひたすらに.........


やっと浮き上がってきましたか?そしたら先程の針金2本を手で持って、ヘッドを上に持ち上げ、
下から針金を引っ張り出してまたドコかに引っ掛けておきます。


さあ、カーボンだらけの燃焼室に感動しましたか?先にカーボン取りをやっておきましょうか、
バルブ、バルブシートを傷つけないように慎重に磨いてください。


【シリンダー・ピストンの脱着】
カムチェーンを落とさずにここまで来れましたか?
正直言って今落としてもシリンダー外せば何とかなるので気は楽です。


これが組みたて時に落とすと大変です!またシリンダーを外さないと拾えません!くれぐれもご注意を!
シリンダーもヘッドと同様に頑固にくっついています。


フィンを割らないように充分注意してプラハンを当ててください。
はがれ始めたらまたカムチェーンをくぐらせて、落ちないようにとめておきます。


外したシリンダーにカムチェーンガイドがくっついてきます。これをボルト2個を外して取り去ります。
このガイドはかなり磨り減っている場合が多いです。ゴムが削れてアルミの地肌が見えていたら要交換です。


さて、うなだれている2個のピストンが気になりますか? とりあえず外しましょう。
外側のピンクリップを外して、内から外にピンを押します。


普通は簡単に外れますが中には堅くて取れない車両もあるでしょう。
こんな時はピストンピンリムーバーという工具を使います。でも二人いれば何とかなりますので友達を呼んできてください。


一人がピストンを持って多少押すような感じ、もう一人が反対側からピストンピンにマイナスドライバーを当てて軽くハンマーでたたきます。コンロッドに力がかからないようにピストンを持つ人は前方に押し出すわけです。


何とか取れましたか?2個とも外れました?ピンクリップをケース内に落とさないで下さいね!


【ロッカーの点検】
腰上は一通り分解できましたね。それでは各部の点検に入りましょう。
最初にヘッドカバーに付いているロッカーアームを点検します。


カムとの当たり面を見て下さい、磨耗や焼きつきの傷がある場合は交換です。オイルを切らすと
最初に焼けるのがこの部分です。当然相手側のカムも同様の傷があると思いますので、カムも含めて交換です。


タペットアジャストスクリューも点検します。
当たり面に偏磨耗がある場合やネジ部の動きが渋くなっている場合は交換です。


あとはロッカーアームの動きがスムーズか、ガタは無いか、オイルラインに詰りは無いかを点検します。
オイルラインの詰りはエアーまたはスプレー式防錆剤を吹いて確認します。


【バルブの点検】
燃焼室のカーボンはきれいに落ちていますか?それでは点検しましょう。
一番のお薦めはそのまま当社に送ってヘッドのO/Hを依頼する事です。価格の目安は下段に掲載しています。


ご自分でやりたい方はバルブスプリングコンプレッサーをご用意下さい。
丸い方をバルブに、二股の方をスプリングアッパーシートにあてがって締め込みます。


バルブコッターが浮き上がってきたら取り外し、コンプレッサーを緩めるとバルブは外れます。
ただしバルブの頭がアジャストスクリューで叩かれ過ぎて広がっている場合はバルブガイドから抜けません。


この状態で無理に抜くとガイドの内面を削ってしまいます。この場合シャフトの頭部分をサンダーで削ります。
面取りをする感じで角を少し落とすだけですんなり抜けるようになります。絶対無理に抜かないで下さい。


うまく抜けましたら、バルブとバルブシートの当たり面を見て下さい。カーボン噛んでるでしょ!
今まで開けたXSで当たり面がきれいだった車両は1台もありませんでした。100%カーボン噛んでます。


当たり幅を測りましょう。規定値は1.3mmです。これもほとんどの車両が約2mmでした。
ご存知の通り、広い面で当たる方が圧力が弱まります。広くなるほどバルブの閉まりは弱くなるのです。


この年代の車両は、ちょうど有鉛ガソリンから無鉛ガソリンに移り変わる過度期にあたり、
バルブシートの材質が変わりつつある時代です。現在の車両とは比較にならないくらいヤワだとお考え下さい。


XS650の場合は当たり面が1.5mm以下であれば擦り合わせのみ、それ以上であればシートカットが必要です。
また極端に減ってバルブ突出し量が変わっている場合は、シート打ち替え交換をしなければなりません。


擦り合わせはタコ棒を買って自分でやろうなんて絶対に考えないで下さい!
バルブラッパー(エアーツール)を使用しないとまともにできません!


擦り合わせのみ、シートカット、シートリングの交換の判断と作業はプロに任せてください。
同時にバルブフェース研磨も必要となります。


バルブも磨耗が激しい場合や曲がりのある場合は当然交換です。次にガイドとバルブのガタを点検します。
少しでも横方向にガタがある場合はガイドを交換します。ガイドとバルブはセット交換となります。


またバルブガイドにはSTDサイズとオーバーサイズがあります。
これは外径の違いで、圧入のため外した物と同じサイズでは抜けてしまう可能性があります。


このためにオーバーサイズが存在するわけです。この作業もプロに依頼する事をお薦めします。
非常にシビアな作業が要求されるためです。


バルブ廻りの整備は4サイクルエンジンにとって、たいへん重要です。圧縮不良の原因の半分はバルブ廻りにあります。
ピストン・シリンダーと同じ位シビアな部分ですのでキッチリとした整備が必要とお考え下さい。


【加工費用一覧】 
\ 6,000 *バルブ研磨加工費用 1台分        
\12,000 *シートカット擦り合わせ加工1台分
\20,000 *シート製作・打ち変え加工1台分(重症の場合)
\ 6,000 *バルブガイド入れ替え費用1台分(重症の場合)
\ 6,000 *バルブ分解・組み立て費用1台分(未分解の場合)
\ 6,000 *燃焼室カーボン除去(未清掃・未処理の場合)

通常はバルブ研磨/シートカット擦り合わせのみで充分です。
バルブの減りがひどい場合は研磨せずに新品バルブに交換します。
またバルブシートも減りがひどい場合は新品打ち変えが必要です。
バルブステムとガイドにガタがある場合はガイドの交換も必要です。

ヘッドとバルブを分解し、カーボンを除去してお送りください。
バルブが付いた状態でお送り頂いた場合は分解・組み立ての費用、
及びカーボン除去の費用を別途申し受けます。


【ピストン・シリンダーの点検】
いよいよピストン・シリンダーの点検です。今まで開けた車両のほとんどは軽い焼きつきが見られました。
ここでは傷の有無、ピストン・シリンダーギャップ、リングギャップ、コンロッドのチェックをします。


結論から言いますと、リングのみの交換かオーバーサイズのピストンを入れるかどちらかの選択です。
どうせ開けたんだからオーバーサイズ入れたいですよね!次に開けるのは何年も先ですから.......


傷の有無はすぐに判断できますが、その他の測定はシリンダーゲージやマイクロゲージが必要となります。
せいぜいシックネスゲージでピストンとシリンダーの隙間やリングギャップを測るくらいが関の山です。


と言う事でオーバーサイズピストンに交換しましょう。STD+0.25、0.50、0.75mmのサイズがあります。
シリンダーの傷が深い場合や磨耗が大きい場合に大きいサイズを使用しますが、通常は0.25から始めます。


当然シリンダーをボーリングしないと入りません。同時に油膜保持の為にホーニング加工を施します。
これはクロスハッチと言う細かい筋目を入れ、オイルを保持し結果的に吹きぬけや焼き付きを防止します。


当社に依頼された場合の価格を掲載しておきますので、参考にして下さい。
これらの加工は内燃機屋サンと言われる加工業者の仕事となり、依頼する場合はデータの提示が必要です。



XS650のオーバーサイズピストン装着場合、シリンダー・ピストンクリアランスを5/100mm(0.05mm)、
リングギャップはトップとセカンドが0.2mm、オイルリングは0.3mmと指定します。(750ccは異なります)


ちなみに限界値はシリンダー・ピストンが10/100mm、リングギャップが0.8mmと1.0mmです。
この数値を見るとオーバーサイズを入れなければ意味が無いという気持ちになると思います。


最後にコンロッドのガタを見ます。ピストンピンが入る部分をスモールエンド、
クランクピンが入る部分をビックエンドと言います。両方ともガタが無いか手で動かしてみます。


スモールエンドはピストンピンを入れて、ガタがあればアウト!ビックエンドは多少の横ガタはOK、
縦ガタがあったらアウトです。


【650cc エンジン加工工賃】
¥30,000 650ccオーバーサイズピストン&リングset +0.25 +0.50 +0.75
¥16,000 650ccシリンダー ボーリング・ホーニング加工

【750cc ボアアップ加工工賃】    
¥40,000  79.94mmピストン&リングset(TX650/XS650SP用)
¥36,000  750cc用 スリーブ2個セット  
¥15,000  スリーブ入替  (1台分2個)       
¥16,000  ボーリング/ホーニング加工        
¥9,000   シリンダー上面研磨 

【TX650,XS650SP用 750cc ボルトオンボアアップ】
¥69,900  750cc ボアアップキット

キット内容:ピストン/ピストンリング/シリンダー
ヘッドガスケット/ベースパッキン/ピストンピン/ピンクリップ
ビッグフィンシリンダーのボルトオンキットです。


続く・・・・・・・・・・・・・・
【ピストン・シリンダーの装着】


【ヘッドの装着】


【カムの装着】


【ヘッドカバーの装着】


【エンジン装着】


【点火時期の設定】


【エンジン始動】

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