Q: トラカブキャブレターの件
2011-06-06  質問者:mr.Kさん
お世話になります、トラカブT90のアマルキァブを国産品のキャブに交換できないものかと考えておりますが、何か良い物アドバイスなど御座いませんでしょうか?
A:お答えします
問い合わせありがとうございます。


まず、本題とは関係ないんですが、「年寄りの能書き」にお付き合いください。
みなさん「カブ」ってどんな意味だか知ってますか?


食肉哺乳動物(クマ、ライオン、トラ、オオカミ)の子供、幼獣って言う意味なんです。
ボーイスカウトの下部組織にカブスカウトというのがあります。


これがまさにそのもので、少年に満たない、11歳以下の幼年による組織の意味です。
主に英国では生意気な、ませたガキの愛称として用いたりします。


1953年、トライアンフ社は最高速度を誇らしげに車名にした、タイガー110(ワンテン)を
フラッグシップと仰ぎ、同じ650のサンダーバード、500のトロフィーとスピードツインという


ラインナップの末弟に、初心者向、女性向のテリア(Terrier)という名の150ccバイクを発売します。
テリアとはご存知の通り、英国で開発された小型の猟犬で、キツネなどの狩に向いています。


そして、翌年の1954年、テリアの弱点を大幅に見直したパワーアップバージョンが発表されます。
名前はなんとタイガーの子供「Taiger Cub」!排気量は200ccに拡大されています!!




そしてこの通称「トラカブ」は1966年まで、12年に及ぶロングセラーとなり大好評を博しました。
1958年に発売されたHONDAのスーパーカブのネーミングは当然、トラカブを意識した物です。


ただ、当時の日本製オートバイは世界から見ればおもちゃのような存在で、天下の
トライアンフ社は気にも止めず、控訴問題まで発展しなかったんだと推測します。


時は移り、今や「カブ」と言えばHONDAの代名詞のようになってしまいました。
どこの業界でも「諸行無常の響きあり」ですね・・・・・・・・・


そんな訳で、トラカブとT90はまったく別の車両です。
T90は1963年3TA(トェンティーワン)のスポーツバージョンとして発売されます。


ミッション別体からユニット(一体)に変わったトライアンフは、1957年スモールユニットツイン
のシリーズを発表します。350ccと500ccの2本立てで、350ccはTwenty-one(21)という


ネーミングが採用されます。正式には Triumph 3TA Twenty-one と命名されました。
21と言うのは21キュービックインチから取った数字で、リッター表示に直すと350ccとなります。


3TAは小型版スピードツインで、バスタブと呼ばれる実用的なカバードタイプで発売されました。
そして、1963年待望のスポーツタイプがボンネルックをまとい、新登場となるわけです。


ネーミングのT90はもちろん、タイガー90! 90は最高速90mile/h(144km/h)を意味します。
兄貴分の500ccはタイガー100として発売され、スモールボンネの位置付けで大人気となります。



さて、ここからが本題です!
T90には本来アマルのモノブロックかコンセントリックMK1が装着されています。


口径は年式によって異なりますが、20mmから26mmが採用されています。
当社ではミクニVM20mmとケイヒンのPWK24mmを装着した実績があります。


ただし、ポン付けとはいきませんので、当然加工取付けです。インマニを加工し、
キャブセッティングも必要です!そしてワイヤーも製作しなければなりません! 

すべてご自分でできそうですか? もし出来ないようでしたら、お近くのバイク屋さんに
相談されたらいかがでしょうか?


アールプロ門倉

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