Q:
バルブ周辺部品について |
2011-01-19
質問者:doimaruさん
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いつもパーツ購入でお世話になっております。
バルブ周辺部品について質問させてください。(長文ですみません)
有鉛仕様、無鉛仕様の違い
1974年以降の車種はガソリン無鉛対策が施されていると聞きますが
当方所有のTX650(75年)及びXS650(71年)のバルブシート、バルブガイド、
バルブ本体等 見た目では違いがいまいち分かりません。
材質変更諸元等分かる範囲で教えてください。
(過去Q&Aでは詳細不明のようでしたが・・・)
XS有鉛仕様?は現在の無鉛ガソリン使用であまり気にすることはないのでしょうか?
実は、御社で取り扱いのステンレスバルブ、強化ロッカーの導入を検討しており
有鉛仕様と言われているXSとの相性を把握したいと思っております。
ステンレスバルブの特徴は?
質量、形状(ウエスト絞り?)、表面処理、中空?、耐熱性、放熱性、シート&ガイド&ロッカーへの攻撃性、バルブ自体の耐久性、等々メリット・デメリットを教えてください。
オーバーサイズピストンについて
御社で取り扱いのXS1?用オーバーサイズピストンは
STDサイズ何ミリを基準にしてのオーバーサイズでしょうか?
例)74.953等
また、ピストントップの盛り上がり形状はXS1?を再現しているのでしょうか。
圧縮比の設定はいくつですか?
もしこれに御社のXSストリートハイカムを組み合わせた場合
リセスとの相性はOKでしょうか。
お忙しいところお手数ですがよろしくお願いします。 |
A:お答えします |
お問い合わせありがとうございます。
正直言って私は、無鉛仕様とか有鉛仕様とかはあまり気にしていません。
エンジンは消耗部品の集合体だと考えていますので、それぞれの部品の寿命が来たら
交換すれば良い事であり、寿命が来る前に交換するのは、ナンセンスだと考えているからです。
それでは有鉛ガソリンとは何か?から考えてみましょう。
4エチル鉛を添加したガソリンのことを、一般に有鉛ガソリンと言いますが、鉛を入れる目的は
エンジンのバルブシート保護と、ガソリンのオクタン価アップが、主な理由と言えます。
バルブシートは高温時のバルブ開閉の衝撃で非常に磨耗しやすい為、鉛を緩衝材として
磨耗を防いでいました。バルブシートは材質が軟らかい方がバルブとの密着が良い為、
できるだけ材質の軟らかいバルブシートを採用し、鉛の緩衝効果に頼っていた訳です。
また、鉛の添加によりオクタン価が簡単に上げられるので、当時は有鉛ガソリンが常識でした。
しかし、鉛を含む排気ガスが社会問題となり、'75年2月以降は鉛を含むガソリンの販売が
禁止されます!そうなるとバルブシートが磨耗してエンジンが大変な事になると騒がれました。
当時は隠れて有鉛を売る店を探し廻り、またモータロイ等の鉛添加剤を競って買い求めました。
しかし実際は、高性能二輪車に関しては、ほとんど弊害は無かったのです!
当時の高性能二輪車は空冷のためもの凄い高温にさらされ、尚且つ高回転型エンジンの
馬力競争時代に突入していました!生半可なバルブやシートは使えなくなっていたんです。
その証拠に今まで空けた256系で、バルブシートが異常磨耗し、ヘッドにめり込んでいる
なんていう状況はお目にかかったことがありません!トライアンフやBSAはたくさん目にしました。
あるトライアンフはタペットアジャスターを最大に緩めても、バルブが突いているんです!
もうクリアランスが作れないほど、バルブが上に上がっちゃってるんです!
燃焼室を見ると、バルブシートが磨耗してバルブが奥の方にめり込んでいました!!
これが本当の意味で無鉛化ガソリンの弊害と言えるでしょう!
こう考えると、ごく僅かなバルブシートの磨耗進行では、無鉛化ガソリンの弊害
とは言えない程度の症状ではないでしょうか?
いずれにしろ無鉛化とは関係なく、バルブシートは消耗し磨耗するんです!
バルブの密着性が弱まり、圧縮漏れを起こしていると判断した時に対処すればよい問題であり、
シートカットで充分使えるのに、無鉛化対策と称してわざわざ交換する必要は無いと考えます。
(当時の一部旧型四輪車などは無鉛化対策をしないとすぐに不調になったようです)
また冒頭で述べた通り、多少柔らかいシートの方が密着性に優れている事も事実です。
次にステンレスバルブの件ですが、僕はあまり好きではないのでほとんど販売していません。
ステンレスの性格上割れやすいだろうと考えるからです。バルブが割れて燃焼室に落ちると
悲惨な状況になってしまうからです!最悪何もかも使い物にならなくなってしまいます。
バルブよりバルブシート材質を柔らかくする理由はここにあります!被害を少なくする為です!
'80年代ヤマハ車はフレームを強化し、それに対してフォークチューブを弱く作りました。
ホンダ車は逆でフレームは弱いままで、フォークを強化しました。
結果としてどうなったか?大垂水峠全盛の時代です!クラッシュするとヤマハ車は
インナーチューブ交換で済みますが、ホンダ車は全損もしくはフレーム修正です!
どこをどの程度強化するかと言うバランスがすごく重要ですよね!強化する時は
全体的にバランスを考えて強化する必要があります。この計算は僕らレベルでは無理です!
メーカーがたくさんのデータを元にして得た、強度バランスが一番信用できるのでは
無いでしょうか? そんな訳で純正相当が組み合わせがベストだと考えています。
ほとんどの部品に言えることですが、性能を追求すると耐久性が落ちると思います。
一般のロードユースの車両は、耐久性に最も重点を置くべきだと考えます。
そんな訳でステンレスバルブやパフォーマンスロッカーアームは、あまりお奨め致しません。
じゃあ、なぜ売っているのか?と言うとマイクさんとの繋がり上、すべてのラインナップを
揃えておく必要がある訳なんです・・・・ここだけの話ですが・・・
最後に256系の補修用ピストンですが、これは256系のリプロ品ではありません!
基本は447のピストンです!これを256でも使えるようにピン径を大きく作り直した代物です。
ですから、トップ形状や使用するピストンリング等はすべて447タイプとなります。
基準サイズは74.945mmです。256系の場合、基準値+0.5mmと+0.75mmのラインナップです。
ボーリングの際は規定のクリアランス5/100mmを指定してください。
残念ながら256用のハイカムはラインナップにありませんので装着する事は出来ません。
以上です!ご検討ください!
アールプロ門倉 |
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