Q: 白煙
2010-11-22  質問者:JOMOさん
いつもお世話になっております。
TX650でTM-RSキャブ仕様です。
今年夏に200km程度走行後にマフラーから白煙を吐き、指摘いただいたメンテナンス(コンプレションゲージによる圧力測定(規定値内でした)キャブの同調、点火時期の調整(かなり早めでした)、調整後以前より安定し問題なく走っていたのですが。先日走行1時間後、サイドスタンドを立ててアイドリング状態で停車していると左側マフラー(サイドスタンド側)から白煙を吐くのを発見しました。白煙はアクセルを2,3回吹かすと
薄くなり消えますが20秒程度アイドリングで放置するとまた白煙を吐き出します。ためしにセンタースタンドを立てて同様の事を行いましたが白煙は吐きません。オイルの量はゲージの範囲でしたが少し多めです。現在少しインマニにヒビが入っています。(夏に交換したのですがバンドを閉めすぎたのでしょうか。新品を本日注文しました。)白煙は、臭く目に少しきます。考えられる白煙の原因について教えていただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。
A:お答えします
お問い合わせありがとうございます。


記載して頂いた症状の中に、重要なキーポイントが三つあります。
一つ目はサイドスタンド時のみの症状!二つ目はアイドリングで出るが吹かすと消える!


そして三つ目は白煙が臭く目にしみる!というこの三つの事実です。
エンジンオイルは通常クランクケースの上下分割線のちょっと下くらいに油面があります。


当然いつもは水平なんですが、サイドスタンド時は左側のみ油面が2?3cm上がります。
また、ヘッドに上げられたオイルはロッカーアームからバルブに向けて噴出され、


バルブ内側のオイル抜きの穴からケースに落ちるように設計されています。
しかしサイドスタンドの状態では、右側のバルブ廻りは完璧にオイルが落ちますが、


左側バルブ周りは高い位置にオイル抜きの穴がある為、オイルが落ちずに溜まってしまいます。
以上の理由により、サイドスタンド時はオイル上り、オイル下りが起きやすいと言えます。


次に二つ目のアイドリングで白煙が出るが吹かすと消えるという症状です。
これは典型的なオイル下がりの症状と言えます。


オイル下りとはバルブ廻りのオイルがシールで止らずに燃焼室まで吸い込まれてしまう事です。
アイドリング時はキャブのスロットルバルブが全閉のため、吸引負圧が高くなり、


バルブステムとバルブガイドの僅かな隙間も強い吸引力にさらされます。
その時にステムシールが弱っているとそこからオイルを吸ってしまうんです。


回転を上げると止る理由は、キャブのスロットルバルブが開くため、空気の取入れが
容易になり、僅かな隙間から吸わなくても、必要なだけ空気が吸えるようになるからです。


要するにバルブガイドへの吸引負圧がほとんど無くなるから、吸わなくなるという訳です。
そして最後の白煙が臭く目にしみる症状ですが、通常の白煙は目にはしみません。


目にしみる白煙とは、オイルにガソリンが混ざって稀釈されていると、目にしみてしまうんです。
オイル量が少し多目と言う事がその事実を裏付けているのではないでしょうか?


オイルがガソリンで稀釈されると浸透力が高くなり、シールが悪くなくても通り抜けてしまいます。
このオイルの稀釈がすべての症状の根本原因だと思います!!


ではなぜそうなってしまったか? ですが、原因はキャブのオーバーフローでしょう。
通常の外へのオーバーフローではなく、エンジン内部に流れるオーバーフローです。


そしてそのオーバーフローの原因は?と言うと、ガソリンタンク内の錆びや汚れと考えられます。
それではどうやったら直るか? その対処法は、まず硬めのオイルに交換しましょう。

オイル量はレベルの中間あたりに設定してして下さい。それで症状は改善すると思いますよ。
また今後の安全策として、タンク内の洗浄とガソリンフィルターの追加はご検討ください。


アールプロ門倉

一覧へ