Q:
xs1b キャブレター について |
2010-10-30
質問者:佐藤公治さん
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いつもQ&Aを参考にさせていただいております。現在、ポイントの調整や電気系の調整を一通り終え、キャブレターのセッティングに取り組んでいます。大分調子が上がってきましたが、1番側のキャブレターのバタフライバルブとメインボアに微妙に隙間がある(目視)ようで、実際、濃いめ・薄めといろいろなセッティングを試してみましたが、1番のプラグがいつも黒く煤けた(乾)状態で、改善できません。そこで、キャブレターの交換を検討し、VM34を第一候補に考えていますが、デロルト(750cc)は、セッティングを変更すれば650ccにも使用できるのでしょうか。また、キャブレターの種類による特徴など、お手数ですが御教示いただきたく、よろしくお願いいたします。 |
A:お答えします |
お問い合わせありがとうございます。
XS1Bのキャブ選びですね!それでは純正と社外キャブの違いから説明しましょう!
XS650シリーズの純正キャブは全車、負圧式キャブが採用されています。
一方社外キャブはすべて強制開閉式キャブとなっています。この違いから説明します。
強制開閉とは、その名の如くスロットルバルブを強制的に開け閉めするキャブの事です。
それに対して、負圧式キャブはアクセルを開けても、スロットルバルブは上がりません!
その手前にあるバタフライ(遮蔽板)が開き、空気を吸い込ませます。
それによりベンチュリー内と上部ダイアフラム内に大気圧との圧力差が生じ、
スロットルバルブが徐々に自動的に上がっていくシステムです。言うなれば半自動キャブです!
キャブレターの歴史から言うと元々はすべて強制開閉式キャブだったんです。
'60年代、排気量の大きい高回転型エンジンの登場に伴い、大口径キャブが必要となります。
ただし口径の大きいキャブのスロットルをいきなり開けると、エンジンがストールしたり、
ボコついて回転が上がっていかない!と言うような症状が発生します。
これは、スロットルバルブオープンに伴い、空気はすぐに流入するが、ガスの供給が
間に合わない症状なんです。ガソリンはベンチュリー内の負圧によって吸い上げられます。
低回転時にベンチュリーを開けても空気の流速が遅く、発生する負圧が小さいため、
ガスの吸い上げがスムーズにいきません!また吸い上げたガスの攪拌も充分には出来ません。
そこで開発されたのが、負圧式キャブです。スロットルバルブ開度はベンチュリー内の
空気の流速で発生する負圧によって決定されますので、常にベストな開度に保たれます。
どんなにラフなアクセルワークをしても、キャブは常に適正な混合気を供給してくれます。
'65年、ホンダの旗艦CB450K0に市販車初の負圧キャブ(CVキャブ)が採用されました。
その後、次々に新発売される大型4サイクル車には、負圧式キャブが当然のように
採用されていきますが、ことレース界においては負圧式キャブは不評でした!!
何よりもレスポンスの悪さがレースにおいては致命的です。またレース中はエンジン回転を
極端に下げる事が無いので、負圧キャブのメリットは感じられません!
以上の理由でレース界では強制開閉式キャブが圧倒的に支持され続けます。
また、ラフなアクセルワークで起きるストールを防ぐため、加速ポンプが装備されました。
さて話を本題に戻して、純正キャブの代替品としてのキャブ選びを始めましょう!
まず口径ですが、純正は38mmです。しかし負圧式の場合かなり回してもベンチュリーは
全体の8割位しか開きません。すぐ全開になる強制開閉式に置き換えると、
せいぜい30mm相当です。ですから強制開閉式34mm、36mmでは純正よりだいぶ大きくなります。
社外キャブの場合、大は小を兼ねません! 大は大の、小は小のパフォーマンスなんです。
どんなパフォーマンスかと言うと、大は高回転に強く、小は低回転に強いと言う事です。
XS本来の低回転高トルクを味わいたい方には、PWK32mmをお奨めします!
現代バイクのように、下から上までスムーズでハイパワーなエンジンに変貌するTM-RS!!
荒々しく土煙を上げて加速する、ダートラ風なイメージはVM34!!
ただしVM34は「回す方」向きで、回さない方にとっては単に不快なキャブという評価を受けます。
デロルトは大きすぎます! 650ccで使用しても何のメリットも感じないでしょう!!
さてアナタはどのキャブが合いそうですか??
ちなみにTM-RSとデロルトには加速ポンプが付いています!これは先程述べた強制開閉式の
欠点である、スロットルオープン時のガソリン不足を補うために、別経由のポンプで、
ベンチュリーに、ピューっと「おしっこ」の如く生ガスを放出するシステムです。
これにより、急加速時のエンジンストールやボコつきが解消されます!!
そして、TM-RSとPWKがフラットスライドでデロルトとVMがラウンドスライドです。
これはスロットルバルブの形状の違いで、ベンチュリー流入側が丸か面かの違いです。
'80年代に登場したフラットスライドは空気の流入が平均的で負圧の発生、攪拌に優れます。
と言うことは、爆発しやすい混合気が作れると言うことです。
そんなわけで、セッティングが容易で、ラウンドスライド程シビアではないんです!
フラットスライドは良い意味でエンジンをごまかしてくれます。
最後に車体との相性ですが、256系のサイドカバーはいちばん干渉が大きいんです。
TM-RSの場合は大胆なカットが必要になります。またVMも多少の加工が必要となります。
唯一無加工で装着できるのが、PWK32なんです!!
このあたりも大きな選択ポイントになりますね!
アールプロ門倉 |
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