Q: 不調
2010-02-05  質問者:シンさん
 いつもお世話になります。先日キャブの不調ということで質問させていただきました。的確かつ丁寧な回答本当にありがとうございます。時間が無くまだキャブ以外の点検、整備ができていないのですが、詳しいかぶりの不調内容を書かせていただきます。
 アイドリングの設定値を既定の1200回転に合わせると、左だけ不規則な排気音になり回転数が落ちていきエンジンが止まってしまいます。アイドリングを高めに設定するとエンジンも止まらず、排気音もかぶりつつも規則的な音になっているような感じがします。素人な為説明不足で申し訳ないのですが、アドバイス宜しくお願いします。
A:お答えします
お問い合わせありがとうございます。


この文章だけでエンジンの調子を判断するのは、非常に難しいんですが・・・・・
アイドリングを上げると問題ないんですね? 走り自体は良いんですね?


お問い合わせの症状をアイドリング時のみと仮定し、アドバイスさせて頂きます。
それでは低回転でアイドリングを安定させるポイントを箇条書きにしてみます。


1)キャブの同調を確実に取る。
2)点火時期を多少遅らせ気味に設定する。
3)タペットクリアランス多少多めに設定する。


以上の3点が重要なポイントなんですが、特にキャブの同調は最重要ポイントです。
もちろん、点火系やエンジン本体は問題無いということが大前提ですが・・・・・・


キャブの同調は通常バキュームゲージを使用して調整をおこないます。
今回はゲージが無かったり、負圧取り出しパイプが付いてない場合の調整方法をお話します。


この作業は二人でないと出来ません! 友達や奥さんに手伝ってもらいましょう!
一人はバイク後方で両手をマフラーの排気口にかざし、排気の圧力を測定します。


測定と言っても手のひらで感じ取るだけなんですが・・・・・・
そして、もう一人がキャブの調整を行います。


'76年以降の1本ワイヤーの車両はキャブの中間にある同調調整ネジを回して調整します。
それ以前の2本ワイヤーの車両は、左右のアイドルアジャスターをまわし同調を探ります。


1本ワイヤーの車両はアイドリングさえ合わせれば、スロットルを回した時も同調しています。
しかし2本ワイヤーの場合、アイドリングとは別に同調を取らなければなりません。


アクセルをゆっくり回し、どちらのマフラーの排気圧が先に上がるかを感じ取ります。
先に上がらなかった方(遅れた方)のワイヤーの遊びを少なく調整して、再度計測します。


これを何回か繰り返し、左右の排気圧が同時に上がるように、ワイヤーを調整します。
もちろんある程度ワイヤーの遊びは確保しなければなりません。


以上がゲージを使わない「キャブレター同調調整」のやり方です。
アイドリングを低回転で安定させたい! これは誰しもが最初に思う願望です。


ただしエンジンにとって、低回転のアイドリングは楽な仕事ではないんです!!
ある程度惰性が効く、2?3000回転のほうが回転させ続けるには、はるかに楽なんですよ。


低回転のアイドリングは、一回一回の爆発が強力でないと、次の爆発まで繋がりません。
強い爆発を得るには相撲の心技体のように、良い火花、良い混合気、良い圧縮が不可欠です。


例えば、経年劣化でコンプレッションの弱くなったエンジンは、低回転のアイドリングが、
多少苦痛になって、アイドリングに支障をきたしても、無理からぬ事かもしれません!


そんな時はアイドリングを少し上げて、楽にしてあげましょうよ!
年寄りに無理させるとろくな事になりませんからね・・・・・


アールプロ門倉

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