Q: エンジンオイルの件
2010-01-25  質問者:滝さん
以前、ローターコイルエンジン乗せかえでお世話になった者ですが、1つ質問があります。エンジンオイルの件ですが、XS650には、化学合成油は駄目なのでしょうか?もし駄目ならどのようなオイルがいいのか教えて下さい。また、オイル交換時、ドレンボルトが二つありますが、それは両方ぬいていいのでしょうか?よろしくお願いします。
A:お答えします
お問い合わせありがとうございます。


そうなんです!!化学合成油は合わないんです! 
そしたら鉱物油なら何でも良いか? これもダメなんです!!


理由を書き始めると大変長くなりますが・・・・・辛抱してお付き合いください。
1870年代に世界で初めて内燃機用モーターオイルを販売したのは、米国のバルボリン社です。


その後20?30年の間にペンゾイルやアマリーが産声を上げペンシルバニア原油が台頭します。
このペンシルバニア原油は、その他の原油に較べ潤滑性能が非常に優れていました。


理由はここのオイル特有の成分にあります。このオイルがあったからこそ米国の自動車産業は
'40年代から'60年代に自動車王国として活況を呈したと言えるでしょう。


この北米産オイルに対抗するには、添加剤や化学合成油の開発しか方法がありません。
ヨーロッパ諸国は、中東原油をベースに化学合成油の製造に拍車をかけ、対抗し始めます。


そして本当に優れた化学合成油が完成するのが、'80年代終わりから'90年代にかけてです。
言い換えれば化学合成油はこの時代のエンジンに合わせて開発されたオイルなんです!


水冷にすることにより油温上昇を抑え、オイルシール類の品質向上によりオイル漏れを
激減させ、浸透性が高くフリクションロスの少ない柔らかなオイルが主流となります。


ですから'70年代のXS1、TX650やXS650SPにこのオイルを使用すると、オイル漏れや、
オーバーヒートを誘発し、エンジンに重篤なダメージを与えかねません!!


エンジンに適したオイルとは、そのエンジンを開発した時期に主流であったオイルです。
すなわち、そのエンジンは当時のオイルを使用する事を前提として開発された訳ですから、


その時代の最良のオイルが最も適していると言えるのではないでしょうか。
ただその後のモータリゼーションの発展に伴い、オイル需要はうなぎ登りで上昇しました。


限られた油田しか持たないペンシルバニア原油は、ごく一部のオイルメーカーしか
供給されなくなってしまいました。ネーミングの元となったペンゾイルでさえも・・


現在出回っているオイルは価格競争で生まれた中近東産の鉱物油、成分不明な安物合成油、
価格の高いブランドの化学合成油、そしてほんの一部生き残ったペンシルバニア鉱物油です。


この4種類の中からあなたはどのオイルを選びますか??
ちなみに国産のオイルは鉱物油も含めてすべて中近東産のオイルがベースとなっています。


PS:オイル交換時は両方のドレンボルトからオイルを抜いてください!
アールプロ門倉

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